性能や機能は何が違うのか

まずはエコキュート・エコジョーズ・エネファーム・エコワンそれぞれの性能や機能の特徴について比べていきましょう。仕組みがまったく違うので、ニーズはかなりハッキリと分かれてきます。

「エコキュート」の性能や機能

電気給湯器に分類されるのは、この中でエコキュートだけです。ですからエコキュートはガスをまったく利用しません。消費するエネルギーは電気のみです。ですからオール電化住宅に最も適している給湯器だといえます。設置するユニットは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクになりますので、スペースは確保しなければなりません。基本的に電気料金の安い深夜にお湯を沸かして貯湯タンクに貯め、それを一日の中で使っていく流れです。そのため湯切れして日中にお湯を追加で沸かしたりしていると、大幅に電気代が上がるという注意点があります。

「エコジョーズ」の性能や機能

エコジョーズはエコキュートと対称的に完全にガス給湯器なので、消費するエネルギーはガスということになります。ただし従来のガス給湯器との大きな違いは、排気されていた熱を利用することができるため15%ほど省エネが可能になっている点です。エコキュートと異なり初期費用を1/3に抑えることができ、貯湯タンクが必要ないのでスペースも確保しなくて済むというメリットがあります。

「エコワン」の性能や機能

エコワンは、電気とガスの両方が消費するエネルギーとなっているハイブリット型の給湯器です。エコキュートと同じようにヒートポンプユニットでお湯を沸かし、貯湯タンクに貯める仕組みですが、40℃から50℃というぬるま湯の状態で貯めておき、お湯を利用する際にガスで温め直しますので、エコキュートに比べて電気代を抑えることができつつ、ガスの使用量も最低限に抑えることができるようになっています。エコキュートとエコジョーズの長所を組み合わせたものだとイメージするのがわかりやすいでしょう。ですからエコジョーズよりかは貯湯タンク分のスペースが必要になりますし、エコキュートよりも初期費用が高くなるといった側面もあります。

「エネファーム」の性能や機能

エネファームはこの4つの給湯器のタイプの中で、唯一「コージェネレーションシステム」を搭載している発電できる給湯器です。消費するエネルギーはガスで、ガスから水素成分を抜き出して発電します。そして排熱を利用してお湯を沸かします。つまり、熱と電気を同時に発生することができるわけです。発生させた電気を有効利用してテレビを見るなど、電化製品の消費エネルギーに利用することができるため、電気コストを大幅に削減することが可能です。一方、初期費用が最も高額という点と、熱料電池ユニットと貯湯タンクのスペースが必要だというデメリットもあります。同じように発電する給湯器にエコウィルというタイプもありますが、こちらは2017年に製造・販売が終了しています。エネファームはエコウィルよりも発電効率が高く、太陽光発電と比較すると、太陽光発電の発電効率が20%に対し、エネファームの発電効率は50%となっています。そのためエコウィルからエコファームに移行したという背景があります。エネファームは補助金制度も適用になる点も特徴のひとつです。

コスト面はどう違うのか

性能や機能の違いと同じくらいに気になるのがコスト面です。10年前に購入した一般の給湯器よりも節約できるだろうということは想像できますが、具体的にどのくらい節約ができるのでしょうか。イニシャルコスト、ランニングコスト共に4つのタイプの給湯器でかなり異なってきますので、こちらの比較も購入を検討した際には重視すべきです。

「エコキュート」のコスト面

フルオートなのかセミオートなのか、貯湯タンクの容量がどのくらいなのかでイニシャルコストは上下しますが、工事費込みでおよそ40万から50万円というのがエコキュートの目安です。電気代は地域ごとの料金プランによってかなりの差がありますが、東京に住んでいて年間10万円かかっていた電気代を24,000円まで抑えることが可能です。節約できる金額は7万円以上ですから5年間使えば、充分にイニシャルコスト分の負担額をペイできます。電気温水器なのでガス料金は一切かかりません。

「エコジョーズ」のコスト面

イニシャルコストが最も安いのがエコジョーズで、目安はおよそ20万円です。ランニングコストは一般的なガス給湯器よりも15%ほど節約できますので、年間113,000円ほどガス代がかかっているのであれば、年間で17,000円ほどの節約ができます。エコキュートと比較すると初期費用が安い分、年間の節約額は小さくはなってしまいます。都市ガスよりもプロパンガスを利用している場合の方が節約額は大きくなります。

「エコワン」のコスト面

ガスと電気のハイブリット給湯器であるエコワンは、発売当初は工事費込みで100万円以上していましたが、現在は60万円くらいがイニシャルコストの目安になっています。ランニングコストとしては、電気代は上がりますが、ガス代が通常のガス給湯器よりも50%から60%節約できます。ガス代は大きく下がりますが、電気代が上がる分、年間の節約額はおよそ4万円ほどです。都市ガスよりもプロパンガスを利用している家庭の方が節約額は大きくなり、その場合だと年間の節約額は9万円ほどになります。プロパンガスを利用しているのであれば、耐用年数の10年で充分イニシャルコストの負担分はペイできます。

「エネファーム」のコスト面

エネファームを導入する場合は、そのイニシャルコストの高さがハードルになります。本体価格で100万円、工事費で100万円、合計200万円の初期費用というのが目安です。自治体によって補助金制度がありますが、そちらで補えて20万円ほどですから、180万円くらいは導入するのにかかります。ポイントはランニングコストがどのくらいになるのかという点ですが、年間のガス代はほぼ変わらず、発電される電力を使用できるため電気代は年間147,850円から78,000円まで抑えることが可能です。つまり電気代を半分まで節約できるということになります。エネファームの耐用年数は20年間と他の給湯器のタイプよりも長くなっていますので、20年間使い続ければイニシャルコストの負担分をペイできる計算になります。本体価格や工事費がもっと安くならないと、お得感はエコキュートよりも弱いのが実状でしょう。

【まとめ】エコキュート・エコジョーズ・エネファーム・エコワンの違い

イニシャルコスト、ランニングコストを考慮すると、オール電化住宅はエコキュートがお得なので迷う必要はないでしょう。ガス給湯器の中で選ぶのであれば、プロパンガスを利用している場合、エコワンに買い変えるのも有効な選択肢のひとつです。少なくとも従来のガス給湯器よりも、エコジョーズには買い換えた方が節約になります。エネファームについては今後価格が安くなるのを確認してから検討するのが良いのではないでしょうか。

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